施政方針

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令和6年度施政方針

コロナ禍が収束に向かい、社会活動がもとに戻りつつある現在ですが、世界的にも戦争や紛争、地震や異常気象による災害、物価高騰など、私たちをとりまく環境は依然厳しい状況が続いております。新島村では、国・東京都からの支援を受け生活支援策等、講じてまいりましたが、今後もより一層住民に寄り添った施策を推進してまいります。

私の政治姿勢として、行政を「動かす力」「進める力」、住民に「寄り添う力」の3つの力を常に念頭に置き、持続可能な新島村の実現、未来に向けて住み続けたいと思える新島村の創造を目指し、国・東京都と協力し、様々な事業を展開していく所存です。

令和6年度の主要な事業につきまして、下記の通りとなります。

健全な財政運営を目指して

国は、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中、地方公共団体が、住民のニーズに的確に応えつつ、こども・子育て政策の強化など様々な行政課題に対応し、行政サービスを安定的に提供できるよう、地方が安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、令和5年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として地方財政対策を講ずることとし、地方交付税の総額は前年度から3,060億円の増額となっています。

東京都においては、「東京・日本の輝かしい未来を切り拓くため、産業や経済、社会の構造転換に挑み、一人ひとりが輝く明るい『未来の東京』を実現する予算」と位置付け、「人が輝く」、「国際競争力の強化」、「安全・安心」の観点から都市力を磨くとともに、都民が実感できるクオリティ・オブ・サービス向上のため、デジタルによるサービス改革など制度や仕組みのアップグレードを図りながら、強靭で持続可能な財政基盤を堅持することなどを基本方針とする予算となっております。

また、「市町村総合交付金」につきましては、対前年度比28億円増の620億円が計上され、引続き市町村への財政支援が図られております。

当村の財政運営にあっては、市町村総合交付金に大きく依存することは言うまでもありませんが、財政基盤の安定・強化に向け、今まで以上に東京都と連絡・協議を密にして対応してまいります。

当村の令和6年度予算は、一般会計予算額48億3千万円で、対前年度16.4%増、金額にして6憶8千万円の増額予算となっております。主な増額の要因は、サスティナブルアイランド創造事業や移住・定住促進住宅建設工事などの普通建設事業費に係る予算となります。

また、特別会計及び公営企業会計の予算総額は、39億7百53万6千円で、主に式根島下水道整備事業により、前年度比49.5%増と大きく増額となっております。特別会計の各事業については、円滑な運営と安定した住民サービスの提供のため、一般会計からの支援を行ってまいります。

今後も、必要性や有効性を検証するとともに、国や東京都の動向を把握し、連携を図り、補助金の確保に努め、基金や地方債の有効活用を図りながら、現実かつ効率的で無駄のない財政運営に努めてまいります。

職員の定員管理・人材育成

行政を取り巻く環境は、少子高齢化に伴う人口減少社会の進行や、社会情勢の変化に伴う住民ニーズの多様化、厳しさを増す財政状況、地方創生などへの対応、地方分権の進展に加え、デジタル技術による事業変革、いわゆるDXの推進もあり、これまで以上に早いスピードで変化を続けています。これらに対応するには、限られた職員で効率的な配置、各職員の意識やスキルの向上、優秀な人材の確保が必要不可欠です。さらに、令和5年度から段階的に定年延長がスタートし、今後の職員の採用や配置といった定員管理についても、充分に検討し、計画的に実施していくことが必要となっています。これらの課題などを踏まえ、行政機能が十分発揮出来るよう組織改革を実践し、住民にとって利用しやすい組織、時代の要請に応じた職員体制を実現するために、適切な定員管理・人材育成に取り組んでまいります。

今後も職員が全体の奉仕者として公共のために勤務すること、さらに、公務における規律と秩序を維持することなど、職業倫理にもとづいた職務遂行に努めてまいります。

住民の生命と財産を守る

防災対策においては、新島村地域防災計画に基づき、住民の生命、財産を災害から保護することを目的に行っているところですが、昨今の異常気象により、災害は激甚化、頻発化しています。

災害の発生時期、規模は、今年1月1日の能登半島地震のように、いつ、どのような形で襲ってくるかわかりません。予測不能な災害の発生に対し、日頃から村民の防災・減災に対する自助・共助などの意識の向上が必要です。

災害において、公助による支援だけでは対応が困難になっており、村民一人一人が「自分の身は自分で守る」という自助能力を高め、共助の担い手である自治会の防災力を向上させ、事業者の組織力や機動力の活用など、自助・共助・公助の総合力で対応することが必要となります。今後も、安全を確保した上で、被害状況や危険個所などを具体的にイメージし、より実践的な防災訓練を行っていきたいと考えております。

また、災害時における電力供給の観点から、今年度において、太陽光発電および蓄電池を活用した電力確保のための施設設置事業を進めます。

現在、災害対策担当課として総務課・行政係がその任に当たっています。今後については、限られた人員の中で大変難しいことではありますが、災害対策を担当する「危機監理官」を配置することも検討いたします。

消防業務

常備消防のない当村にとって、消防団は、火災・地震・風水害など大規模災害時の避難誘導や救助活動を行うため、また、有事における地域の安心・安全を確保するために不可欠です。日夜献身的に取り組んでいる消防団員に対して改めて敬意を表すとともに、今後においても積極的な活動を支援してまいります。

近年、大規模災害が懸念される中、消防団員の確保と災害対応能力向上の必要性が以前にも増して高まってきております。今後も東京都消防訓練所などの指導を仰ぎながら、消防団の地域防災力の強化・充実に努めるとともに、必要に応じた消防設備の充実、災害に備え消防施設の高台移設について検討を進めます。

コミュニティ活動への支援

村民のコミュニティ活動支援については、各町会への活動費補助金および新島村地域力向上事業補助金を計上し、地域課題の共有、解決に向けて取り組んでまいります。また、担当課を通じて、町会からの意見や要望などの聴取について、今までに増して積極的に取り組んでまいります。

定住化対策および空き家対策

本年度も、移住・定住に関する様々な用務に対応できる総合的な支援窓口を外部団体の協力を得て継続運用し、新島村における移住・定住の促進および関係人口の創出を進めてまいります。

また、移住定住希望者に対応できるよう、新たに移住定住促進住宅4戸を整備いたします。

空き家問題については、令和5年度に実態調査を行いましたが、今後はその結果を踏まえ、所有者の方に適正管理をしていただけるよう積極的に働きかけを行うと共に、新島村空き家バンク事業と新島村定住化対策事業交付金の活用を連動させ、空き家問題の解決に向け取り組んでまいります。

産業振興について

産業振興について、昨年5月にコロナ感染症の分類が5類となり、生活様式は、ほぼ以前のように戻ってはきましたが、3年間にも及んだ劇的な生活変化の影響は、未だ私たちの心の奥底に残っているように感じます。観光関連産業は、インバウンドの効果も含め、コロナ禍前と遜色ないほどの復調の兆しが見え始めてはおりますが、反面、円安・物価高騰などによる事業運営への影響に悩まされているところでもあります。村ではこのような社会情勢を踏まえ、各種産業団体を通じて、事業者の生産、収益向上等に繋がっていくよう、引き続き、事業内容に応じた協力・支援を行ってまいります。

農林業事業

農業振興を図るための基盤整備として、今年度から、大原配水池から向山配水池に送水する管路敷設工事を実施し、合わせて農業用水井戸、配水池の状況を把握できる監視機能の付設を行います。

また、今後予想される自然災害時の迅速な復旧作業に対応するため、デジタル技術を活用したシステム構築を進めてまいります。

認定農業者、認証農業者等の換金作物を生産する農業者の方には、肥料等の購入に対する助成と併せ、規模拡大・生産率・出荷率向上を図るため農業経営支援を継続してまいります。

ふれあい農園においては苗の安定供給と共に、若い世代からも農業、農作物への関心を持ってもらうために、園芸教室を開催してまいります。また、トラクターなどの重機置き場についても、ふれあい農園に集約させることで、利用者の利便性向上を図ってまいります。

次に、有害鳥獣駆除対策について、鹿の個体数は減少傾向であり、農作物被害は近年非常に少なくなってきていますが、反面、生息域が徐々に山奥に移動してきているため捕獲が困難になってきています。今後は、このような状況を踏まえた罠の設置場所の見直しや掛け直しを進め、これまでの駆除実績に基づいたデータや経験を活用しながら、専門家のアドバイス等もいただき、効率的な捕獲駆除を推進してまいります。

森林病害虫事業においては、トビモンエダシャク駆除と、松枯れ防除事業を実施します。なお、松枯れについては状況に応じ伐倒駆除なども併せて実施いたします。

水産事業

次に水産関係について、赤イカと並んで当村を代表する魚種であるキンメダイは、近年、操業時にイルカによる食害被害が多発し、水揚げに大きく影響を及ぼしています。この被害を軽減するため、食害防除に関する事業に対して、漁協を通じて支援してまいります。

また、ここ数年来、黒潮の大蛇行による海水温上昇の影響により、貝・藻類の水揚げが著しく減少しています。今後については、これまでのモニタリング調査で採取実績のある貝種に放流稚貝を変更し、水産資源の維持、確保に努めていきながら、今後も毎年のモニタリング調査を継続し、状況に応じた柔軟かつ迅速な対応を進めます。

後継者育成については、その取り組みの一つとして、漁業と特産品である海産物への興味関心を広めるため、中高生を対象に、沖釣り漁業体験教室を継続実施いたします。

次に、水産加工業について、新島を象徴する代表的な特産物の一つである「くさや」は、江戸時代から生産される伝統食品でもあります。伝統の味をより多くの方に楽しんでいただくため、焼きくさや生産に欠かせない焼成機の更新工事を実施し、製品の製造効率の向上化と安定供給を図っていきます。

観光・商工事業

観光商工振興について商工事業としましては、ICTを活用した特産品販売事業に係る経費の支援と、商工会への事業支援等を通じて、商工業の活性化を図ってまいります。

観光事業につきましては、SNSをはじめ多くのツールを活用し、新島・式根島の魅力とフレッシュな情報を発信していく事により、認知度向上と、それに伴う来島者の増加を目指します。また、併せて物産展等にも積極的に参加し、特産品のPRに努めてまいります。そして、港区や渋谷区をはじめとする自治体連携事業で、行政のみならず各団体においてもより良い関係性を築いていけるよう取り組みを拡充してまいります。

また、各種集客イベントを継続実施し、多くのお客様を呼び込み、島内観光産業の活性化を図ってまいります。

観光協会をはじめとする各団体につきましては、村の財政状況も厳しい中ですが、必要に応じて支援するとともに、新島については観光に関わる団体等の設立についても民間の活力を求めながら検討してまいります。

以上、観光産業全般について述べさせていただきましたが、産業振興は行政だけでなしえることではなく、当事者をはじめ産業団体が積極的に取り組みを進めることが必要です。今後も、関係機関をはじめ事業者と連携し、産業の振興と活性化に取り組んでまいります。

健康で明るい暮らしのできる村を目指して

介護保険については、高齢化率の上昇に伴い、介護給付費が年々増大し、今後についても更なる利用者増が見込まれております。昨年度、第9次介護計画を策定いたしましたが、この計画に沿って適切な運営を図ってまいります。

青葉会館・式根島福祉健康センターについては、地域福祉、高齢者福祉などの拠点として、高齢者や小学生などの放課後の居場所、交流の場として利用されています。これからも、幅広く多世代の村民に利用いただける場となるよう、関係機関と協働して取り組みを進めます。

式根島温泉憩の家については、住民及び観光客の方など、多くの方に利用されていますが、本年度中の完了を目指しバリアフリー化やロビー、更衣室の改修、湯壺の拡張などを行い、併せてデジタル技術等を導入し、快適で安全に利用できる施設を目指します。

新島老人ホームについては、常に10名から20名の入所希望者があり、今後も施設介護を必要とする方の増加が見込まれています。

村では、健全な施設運営のために必要な支援は行ってまいりますが、運営母体であるはまゆう会に対して、現状の整理・分析を行った上で、経営の改善を促してまいります。更に数年来の課題である働き手不足についても、島内外での人材確保・人材育成に努め、安定的な人材確保が実現されるよう支援してまいります。

独居高齢者、高齢者世帯等への見守り活動については、関係機関と協力し、昨年度以上にきめ細かい対応ができるよう、個々が抱える問題などに寄り添い対応してまいります。また、そのための財政的支援も併せて行ってまいります。

障害者福祉については、障害者が必要なサービスをスムーズに利用することができるよう、障害者・障害児の相談支援体制の強化に努めてまいります。本年度は『障害者等島外通院支援事業』の拡充を図るほか、地域で安心して働けるよう、就労支援事業を継続してまいります。今後も、障害者の方が自立した生活を送れるような仕組みづくりを推進してまいります。

児童福祉については、子育て世帯への経済的支援として、18歳までの医療費助成を継続してまいります。

村立保育園については、生活形態など多様化する子育て世帯のニーズに応えるため、新島村版『だれでも保育』の実現に向け、施設整備や、保育人材の確保といった、体制づくりを進めます。また、心理士による保育園児の園内での行動観察および心理判定を実施し、専門的な助言・指導をいただきながら、心身ともに健やかな成長を支える保育を目指してまいります。

子育て支援については、子ども家庭支援センターが中心となり「総合相談」「家庭訪問」などを通じ、地域の子育てに関して、支援を行っております。昨今の虐待や育児に対する諸問題についても、東京都児童相談センターをはじめ、保育園・各学校・診療所・警察など島内各関係機関と横断的な連携体制のもと対応してまいります。

後期高齢者医療については、今後も東京都後期高齢者医療広域連合と連携し、安心して医療を受けられるよう制度の円滑な運営に努めてまいります。

国民健康保険については、高齢者や低所得者の加入割合が高いなど、構造的な問題を抱えており、事業運営は依然厳しい状況にあります。財政運営の責任主体が東京都となり、国保税の負担が増大してきてはおりますが、当村においては、なるべく急激な負担増とならないよう、東京都の理解をいただきながら税額を調整していくとともに、保険税収納率の更なる向上に取り組み、事業の健全化を図ってまいります。

また、医療費の削減については大きな課題となっており、特定健康診査などの受診率向上、生活習慣病にならない生活指導の充実強化を図り、医療費の抑制に反映できるよう、さわやか健康センターをはじめとした関係部署とともに、取り組みを進めます。

『新島村島外医療機関受診に係る交通費等の助成制度』につきましては、今までの19歳未満65歳以上の対象者を、年齢制限を撤廃し、全住民を対象といたします。同時に、助成回数の拡充などを図り、真に必要な方に、必要な助成が行き届くよう制度改正し実施してまいります。

さわやか健康センターついては、子どもから高齢者まで住民の健康づくりに関する事業を展開しております。健康診査・各種がん検診については、住民の皆さんの健康維持のため、疾病の早期発見・早期治療につなげられるよう村内検診の充実に努めてまいります。

母子保健については、村の専門職による乳幼児健診、子育て相談などの実施とともに、コロナ禍で感染症予防対策として実施回数を減らしていました乳幼児対象の育児学級を、あそびの広場として定期的に開催し、妊産婦・乳幼児・保護者の心身の健康増進の支援を継続してまいります。

予防接種事業については、住民の感染症の予防や重症化を防ぐために、小児の定期予防接種スケジュール相談をはじめ、季節性インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン接種等を予防接種法に基づき、診療所と連携して対応してまいります。

健康増進事業については、予防リハビリ教室や健康講座を開催し、住民の健康意識・予防意識の向上に努めるとともに、住民主体による介護予防グループの活動支援に努めてまいります。

食育事業については、子どもから大人・高齢者までつながる、ひろがる食育をめざし、関係機関や地域と連携して各ライフステージへの事業を展開してまいります。

安心と信頼性のある医療業務

診療所においては、医科・歯科ともに、東京都並びに協力病院などのご尽力により、本年度においても医師の不足は生じておりません。今後も、協力病院などとの連携を密にし、良好な関係を築くことにより、特に医師の確保について万全な体制を構築してまいります。

専門診療についてですが、順天堂医院並びに昭和大学病院のご協力のもと、6科19回延べ38日実施をしてまいります。また、今年度において、協力病院との調整も含めて、各専門診療科における式根島での現地実施の可能性について、検討を進めます。

診療所内の設備、機材などにつきましては順次更新しており、本年度の主なものとして、本村診療所は透析装置、式根島診療所は歯科レントゲンPCシステムの更新を予定しています。今後も耐用年数などを考慮し早めの更新を進めるとともに、機器の充実を図ってまいります。

循環型社会の構築を目指して

環境衛生関係について、焼却施設である新島村清掃センターは、式根島地区の可燃ごみも受入れ、順調に稼働しております。

今後も適正なごみ処理施設の運営を行うと共に、ごみの減量化、再資源化推進に向けた、施設整備計画策定に向けた、調査・検討を行ってまいります。

一般廃棄物安定型最終処分場については、新島、式根島とも次期最終処分場および最終処分のあり方について具体的な検討を行う時期にきていることから、新たな循環型社会形成推進地域計画の策定について、東京都と協議・検討してまいります。

生活の基盤整備

道路整備事業についてですが、新島地区においては、低地に位置し豪雨時に冠水の恐れがある路線から整備を進め、近隣宅地への流入を防ぐと共に、歩行者及び車両の快適かつ安全な通行を確保します。令和3年度から整備しております『村道南北浜線側溝改修工事』につきましては令和6年度に全工事完了となります。

また、現在、通行禁止区間のある村道『羽伏浦バイパス線』及び『和田浜線』につきましては、引続き海岸線の都の保全対策と並行し対策を講じてまいります。式根島地区においては、『下水道整備事業』を優先的に進め、それに併せて道路整備を進めて行くとともに、日頃の維持管理については、路面や交通安全施設を日々点検し、不具合や危険箇所は速やかに補修、清掃を行い安全・安心な村内通行の確保に努めてまいります。

無電柱化については、防災機能や安全性の向上、良好な景観の創出のために、本年度、新島空港からヘリポートまでの村道空港北線の詳細設計を実施し、令和7年度から工事着手をしてまいります。

また、都道については、令和6年度から、若郷トンネルから飛行場入口までの区間の無電柱化を進めていく予定となっております。

公園事業については、幼児から高齢者まで住民の憩いの場となるよう施設の安全性を常に考慮した維持管理に努め、簡易修繕にあっては即時対応し、大型遊具入替え等の大規模改修については、東京都の補助事業を活用し、優先順位を定め年次ごと計画的に進めてまいります。

村営住宅維持整備事業については、経年劣化などに伴う大規模改修にあっては、『公営住宅等長寿命化計画』に基づき計画的に行い、日々の管理においては、故障や不具合に即応すると共に、入居者の退去時に合わせリフォームを行い、住宅機能の改善及び利便性の向上に努めてまいります。

簡易水道事業については、人口減少の影響により事業運営を支える使用料収入が年々減少している状況が続いており、各施設や設備においては老朽化が進んでいます。

今後の大規模な更新事業に向け、優先順位や他事業との連携、財源確保の見通し等を勘案し計画を策定すると共に、より一層の健全運営に努め、かつ、安全・安心な水道水の安定供給を図ってまいります。

また、今年度から移行になる公営企業法適用化ですが、上下水道事業とも、より安定した事業運営を目指すために、国・東京都の動向を注視し、補助金の確保に努め、健全な財政運営に努めてまいります。

下水道事業については、本村処理区の全面供用開始に向け管渠敷設工事を引続き行うと共に、接続率向上を図ってまいります。

式根島処理区については、管渠工事について計画通り進めております。処理場整備工事については、本年度、汚泥ポンプ棟・汚泥管理棟の建築工事や塩素混和池・放流渠の土木工事、また水処理施設の電気機械設備工事を実施します。

港湾整備は、住民生活にとって重要なライフラインであり、産業・経済の振興に欠かすことのできない基盤施設であります。

国及び東京都の整備計画を踏まえ、海運業者や漁協等の関係者から意見を聴取し、整備手法や優先順位について村として要望を一本化し、事業の早期推進に向け議会をはじめ関係各位と共に積極的な要望活動を行ってまいります。

また、式根島野伏漁港船客待合所の建替え工事につきましては、今年度中に工事着手の見込みである旨、確認しております。

連絡船事業

昨年2月4日に座礁事故を起こしてしまい、以来1年余りもの長期にわたり代船での運航を余儀なくされ、住民の皆様をはじめとするご利用のお客様には大変ご不便、ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。現在はにしきでの運航が再開しておりますが、二度とこのような事故を起こすことがないよう、安全管理の徹底を図ってまいります。

また、代船につきましても、従来は民間の船を借り上げるなどして運航してまいりましたが、就航率の向上や、輸送人数の拡充、安全性や乗り心地の改善などを図るため、村で新たな船舶を購入しました。今後は、ドッグ時における代船運航と共に、通常時においても代船の積極的運用も含め、安定化及び効率化を図ってまいります。

にしきの長期不在により、通学、通勤、通院、観光客の移動や物資の輸送など、新島~式根島を結ぶ「海の村道」として、にしきの果たしてきた役割の重さと、それに対する住民の皆様の期待の大きさを改めて痛感しております。

今後とも、更なる安全性の向上を図りつつ、より快適にご利用していただけるよう、気を引き締めて運航してまいりますので、ご理解ご協力のほどお願い申し上げます。

教育・文化の振興

この3年間、新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの制約を課せられながらの教育活動を余儀なくされてきましたが、ようやく収束の気配が見えてきた中で、教育活動が本来の姿に戻りつつあります。

本施政方針では、特に、これから大きな課題として取り組んでいくこと、今後、新たに展開していきたい施策や、積極的・重点的に取り組んでいく必要がある点に絞って述べさせていただきます。

「学校教育」について、大きな課題の一つが、「人口減少・少子化における教育環境の充実」です。この実現のために、自然の増減に委ねるだけではなく、社会的増加を図っていくことに努めていきたいと考えます。その一環として、新島高校への「離島留学」を実施しています。令和6年度にも2名の受け入れを予定しておりますが、これからも継続・充実していけるように努めてまいります。また、次年度以降を見据え、新たなホームステイ先の発掘・確保と、並行して寮方式の制度についても具体化に検討を進めます。

この児童生徒数の確保の課題については、中学・小学生まで対象となるものですが、村づくりの大きな課題である「移住・定住化促進」の取り組みと合わせて進めていく必要があるとも考えています。

二つには、学校と地域との協働・連携による教育活動の体制づくりと実施の推進です。

今あるボランティアによる応援や支援に加え、より具体的な連携・相互サポートの協働体制のもとで学校活動を充実させていくことが必要と考えており、令和6年度から「地域学校協働本部」を設置し、地域と学校が連携・協働する仕組みづくりを推進し、子供たちを支えるとともに、活動を通じて地域のつながりを強化し、地域の活性化を図りつつ、その先にある「コミュニティ・スクール体制」の構築につなげてまいります。地域にあっては、様々な場面で「人材確保」が難しい現実のなかで、この取り組みも正に人材如何にかかっていますが、将来に向けて是非にも機能していかなければならない課題と考えています。

新島村の学校活動推進の基本的柱として「新島村連携型一貫教育」の研究を長年に渡って続けており、着実にその成果を実感してきているところですが、引き続き、保小中高連携した「一貫教育」研究を推進していきたいと考えています。また合わせて、東京都と新島村の共通制度としての「中高連携型一貫教育」、そして「式根島小中一貫校」の確実な推進に努めてまいります。式根島学園の施設一体型計画の実現に向けては、現在、校舎等施設の診断調査を行っています。近く出される調査結果をもとに、客観的な判断を踏まえつつ、施設一体型整備に向けた具体的方針を決めてまいります。

私は、時代を担う子どもたちの育成に力を注いでいきたいとの思いを強く持っています。そのためにも、子育て環境の充実・子育て支援を重要な目標として取り組むこととしています。

令和6年度当初から、「管内小中学校の給食費完全無償化」を実施いたします。私も、一義的には国においてしっかりと取り組まれることが必要だとは捉えておりますが、現状のコロナ禍や物価高の中で子育てに奮闘と苦労をされている保護者の皆さんの支援策として一刻も早く実施すべしと判断し、決めたものです。

また、子育て・就学支援として「給付型奨学金」の創設を検討してまいります。現在の奨学金事業も、大学や専門学校への進学に活用され、その目的を果たしているところですが、制度のプラスアルファとなる新たな奨学金制度を創設し、教育費負担の軽減を図っていきたいと考えています。島外に出ていく人、島に残る人、島に戻ってくる人など、就学上のいろいろなパターンを考慮しながら、また新島村が求める人材像とも兼ね合わせながら、具体的な制度としてまとめていくよう準備を進めてまいります。

「社会教育」については、スポーツや文化活動全般において、コロナ禍で大きな制約を受けた3年間で、大部分が中止や縮小を余儀なくされて、活動全般において停滞してしまいましたが、やっと収束の兆しの中で活動が再開してきました。

一度、停滞した流れを再び動きださせるのは、大変な労力と奮闘が必要となってきますが、今後も引き続き、子供たちから大人までの体育活動、スポーツ推進に努めてまいります。

本年1月に4年ぶりに開催した「村民駅伝大会・ロードレース大会」からも、やはり、みんなが元気に力を合わせて活動することで地域の活力向上に繋がることを実感したところです。

社会教育推進においても、地域の活力を必要としています。「子供くらぶ」等NPO団体の力が年々高まってきていることを感じていますが、学校と地域全般の社会教育向上に住民一人ひとりの力と役割を高めていってほしいと期待するところです。

友好町村等との「対外交流事業」についても、コロナ禍から抜け出した中、交流の活発化を図っていきたいと考えています。

「生涯学習、文化振興」については、引き続いて、博物館を主として、村民への学習や文化に触れる機会を創ると共に、自然や歴史・文化に関する発信活動や啓蒙活動を行ってまいります。

現在取り組んでいる「新島村生活調査」のまとめに力を注いでおりますが、村の歴史と独自の文化を大事にしつつ、次代に繋げていく大きな財産として活用していけるものと考えています。

また、新島村独自の歴史や文化について改めて見直し、これからの地域づくりに活かしていく取り組みが望まれています。ユネスコの「無形文化遺産」に登録された「大踊」や、「国の有形登録文化財」として相次いで登録された「コーガ石造建造物」など、こうした無形・有形文化財を、世界や国に認められ評価されたことをもキッカケに、新島村の誇れる文化・資源として、キチンと見直し、後世に引き継ぐと共に、現在の地域づくりにも積極的に活かしてまいります。

以上、令和6年度の施政方針となります。

村民の皆様並びに議員各位におかれましては、なお一層のご支援、ご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

令和 6年 3月 7日
村長 大沼 弘一

お問い合わせ先

新島村役場企画財政課企画調整室
〒100-0402 東京都新島村本村1丁目1番1号
電話:04992-5-0204内線204 FAX:04992-5-1304

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