診療所便り­­­­­­­­­­­~­­V­­o­­­l­­­­.­­­­­22~成長期のロコモティブシンドロームについて

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成長期のロコモティブシンドロームについて  戸田 美波

式根島診療所の戸田です。皆さまいかがお過ごしですか?

7月を迎え、式根島では、蝉時雨が賑やかに降り注ぐ季節を迎えています。去る6月18日は島内マラソン大会が開催されました。初夏の青空に恵まれ、出場選手数が約130人という盛況ぶりでした。気温も湿度もかなり高い中でのレースでしたが、熱中症などの大きな事故もなく終わることができましたね。

 

そこで今月は、スポーツに関連した話題です。ロコモティブシンドローム(=略称ロコモ、運動器症候群)は、骨、筋肉や関節の障害のために、活動能力が低下した状態を指します。ロコモは、お年寄りの寝たきりを予防し、健康な体で長生きを目指すために注目を集めていますが、最近は子供たちの間でも問題となっていることをご存知でしょうか。

昔に比べて自由に外遊びできる場所が減った、家庭用ゲーム機で遊ぶことが多くなった、放課後は塾や習い事で忙しい…などの生活習慣の変化により、慢性的な運動不足の子どもが増えています。昭和60年頃をピークに、子どもの平均的な体力・運動能力は低下傾向であると言われています。一方で、運動部の部活動などでは、長時間におよぶハードな練習を毎日のように行う傾向も見られており、運動し過ぎが原因となった怪我や痛みに悩まされる子どもも増えています(オーバーユース症候群)。単一のスポーツのみをしていると一部の筋肉のみが発達し、柔軟性が失われたり、全体としてバランスが悪くなってしまったりすることがあると言われています。

子どもたちをめぐる運動不足と運動過多という二極化した実態。子どもの運動器の健康状態を把握し、病気の早期発見・治療に結びつけるため、平成28年4月より小中学校での運動期健診が始まりました。チェック項目は下の通りです

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・片足立ちが5秒以上できるか?

・両腕を前にのばして、しゃがみ込みができるか?

・両腕をまっすぐ(180度まで)上がるか?

・起立位からの前屈で床に指先がつくか?

・肘関節、手首の関節は、痛みなく十分に曲げ伸ばしができるか?

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運動器健診は、成人のロコモ検診の位置づけとはやや異なり、成長期に多い疾患(脊柱側彎症、野球肘/野球肩、オスグット病、腰椎分離症、ペルテス病、大腿骨頭すべり症、先天性股関節脱臼など)のスクリーニング検診でもあります。運動し過ぎによるスポーツ障害を防ぐためには、十分な休養とバランスのとれた食事を心がけること、準備運動と整理運動を必ず行うこと、体調の悪い時には無理をしないこと、などの基本的な習慣が大切です。

運動習慣には様々なメリットがあります。丈夫な骨格を作り、筋力や持久力が向上するなどの身体面はもちろんのこと、知的な発達にも役立ちます。仲間との関わりの中でコミュニケーション能力が育まれ、スポーツを通して礼儀やマナーなど望ましい社会的態度が身に着くと言われています。子どものロコモを防ぎ、健康な体を育てましょう。 (かく言う私ですが、最近、思い立ってなわとびを始めたところ、早速筋肉痛を起こしていました…^^;)

2016年7月 式根島診療所 所長 戸田 美波

お問い合わせ先

新島村国民健康保険本村診療所
〒100-0402 東京都新島村本村4丁目10番3号
電話:04992-5-0083 FAX:04992-5-1131

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